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カチャッ、カチャッ......。
人差し指で文字を叩いてみた。パッタンパッタン と真っ白い紙に文字が打ちつけられる。
それだけのことなのだがそこに、タイプライターの魅力がすべて詰まっている気がした。
尾河商会の 尾河昇さんは 40年以上、タイプライターの修理とメンテナンスの仕事をしている。
タイプライターは、貿易関係の文章や手紙を打つために、大使館、領事館、港に出入りするすべての船が持っているほど港町には欠かせない道具だった。
レミントン、アンダーウッド、ロイヤルなど、横浜のどこでどの機種が使われているか把握できるほど毎日あらゆる場所に出向いていたという。
コンピューターの導入でタイプライターの需要は減ってしまったが、道具としての魅力が 尾河さん の気持ちを離さない。男の子が車やカメラに夢中になるように、器械にに触れていることがうれしくてたまらない。
そんな気持ちが伝わってきた。
目をかけて手入れをすればするだけ反応を返してくれる物には魅力がある。
一度は壊れて動かなくなった物や、役目を終えて引き取られた物が店に並ぶ。クラシックでデザインも美しい。
飾っておくだけでもいいのではと感じるが、「動かなければ意味がない」とすべて修理済み、現役だ。
最近噂を聞き付け、家で眠っていたタイプライターの修理をお願いしにやってくる人が現れた。
「何でも、簡単に思い通りにいかないほうが魅力的でしょう?」 横浜を知るにはもっと時間が必要なようだ。
ホームページでは、中古、新品のタイプライターやインクリボンなども販売している。修理も受け付けている。
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